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2011年12月30日(金)更新

中小企業金融円滑化法の再延長について

自見金融担当相は27日、2012年3月に期限が迫る「中小企業金融円滑化法(以下、金融円滑化法)」の期限を1年間延長し、2013年3月末までとすると正式発表しました。自見担当相はこれ以上の延長はしないと強調した上で、「中小企業の事業再生への支援に軸足を移し、ソフトランディングをする」との考えを示しました。来年の通常国会に同法改正案を提出します。
 
金融円滑化法は景気低迷によって業績が悪化している中小企業支援策として、2009年12月に施行されました。当初は今年3月までの時限措置でしたが1年延長され、今回で2度目の延長となります。
 
金融庁が発表している資料によると今年9月末までで申し込みが約245万件、実行率は97.3%(審査中などを除く)となっています。施行されてから2年以上経ちましたが、リスケジュールの申し込みにほぼ応じてきたのが現実です。なぜなら、金融庁が進めてきた「金融円滑化法に係る条件変更対応の調査」で重視されたのが、「条件変更に応じているか否か」であったことから、再建の見込みが少ない中小企業にも銀行は応じることとなりました。
 
当初は条件変更に応じているかいないか、応じているならば経営改善計画を策定しているか(もしくは条件変更後1年以内に策定する予定になっているか)が問われていました。しかしそれが最近は「条件変更先の経営実態はどのようになっているのか。そして、銀行はどのように対応しているか」という部分に検査ポイントが変わってきました。
 
当初の予想よりも景気が回復せず、それと同様に条件変更先の経営改善の進捗状況は思わしくないケースが多く見受けられます。しかも、債務者区分が下がらないよう、経営改善計画を作成させるが、安易な根拠に基づくため実現性の低い計画も多い。
 
金融庁は、「しっかりとした経営改善計画を策定させ、銀行はその後のフォローをやっているか」という点に目を光らせているのです。それによって、金融円滑化法が終了しても大きな混乱が生じないようにしたいという狙いです。
 
すでに再度のリスケジュールを申し込んだ時、金融円滑化法スタート時に比べると、厳しいことを言われたり簡単に進まなかったりした中小企業が増えてきたように感じます。金融円滑化法が2度目の延長となっても、今までのほぼ応じるという姿勢とは違うと思ったほうがいいでしょう。