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2011年07月29日(金)更新

ABLの現状

弊社のホームページにどのようなキーワードで検索して来てもらっているのかを調べてみると、ABLが最近とても多くなっています。銀行員が読む月刊誌を出版している会社様から、ABLに関して執筆を依頼もされました(時間的に責任が持てなかったのでお断りをしましたが)。
 
ABLとは、企業が保有する事業資産を担保として行われる融資です。担保となる事業資産には、売掛債権、機械設備、在庫(原材料、商品等)などがあげられます。

不動産担保や個人保証に過度に依存しない金融手法として、数年前からABLが注目されつつあり、2008年から2009年にかけて4千億円程度まで増加するものの、2010年3月末では3千億円程度まで減少し、最近は取り組み機運自体が停滞気味。依然として企業向け融資全体に占める割合は0.1%程度と非常に少ないのが現状です。しかも適切な管理がなされている担保については、金融検査でも一般担保として認められているにもかかわらず、実質的に無担保と等しい添え担保扱いしている銀行が多い状況です。

ABLの融資残高が減少した原因としては、リーマンショック後の企業の資金需要の減少ということもあるでしょうが、2008年から今年3月末まで取り扱っていた緊急保証制度が、ABLの代替をしていたためと思われます。
 
融資する側である銀行の立場からしても、担保動産の管理にかかるコストを考えると、緊急保証制度のほうが管理は楽でありしかも信用保証協会が100%保証してくれるので、どうしてもそちらに力を入れるのはやむを得ないのかもしれません。
 
しかし、中小企業にはABLの対象となる売掛債権が60兆円、在庫商品が40兆円あることから、日本銀行は先月14日に「成長基盤強化を支援するための資金供給」に5千億円の貸付枠を新設しました。今後、金融機関のABLや出資への取り組み実績に応じて、1金融機関当たり500億円を上限に金利0.1%で貸し付けるというものです。
 
これだけで今後、銀行がABLに積極的になることは難しいでしょうが、少しでも取扱いが増えることを期待したいです。