大きくする 標準 小さくする

2012年05月11日(金)更新

監査報告書を求める動き

銀行が融資先の非上場の大会社から監査報告書を入手する動きが広がりそうです。
 

最近の金融検査で金融庁は、粉飾決算による貸し倒れを防止する手段として、融資先の非上場の大企業から監査報告書を入手するよう、銀行側に指導を始めたことが原因です。


会社法では資本金5億円以上もしくは負債総額200億円以上の株式会社に対して、非上場企業であっても外部監査が義務付けられています。しかし、罰則(100万円以下の過料)が軽いにもかかわらず、監査報酬は高額であることが多いため、外部監査を実施していないケースは多くあります。


2011年2月、岡山県の株式会社林原が会社更生法を申請したというニュースは大きく報じられました。林原は資本金は1億円でしたが、負債総額は1300億円もあり、会計監査人による監査を受ける必要がありました。しかし、会計監査人のチェックが入らない林原の粉飾決算は、1984年から発覚する2010年まで続くこととなりました。さらに、メインバンクである中国銀行が、担当者どころか本部ですら監査対象企業であることを知らなかったことも明らかになりました。


全国銀行協会は2011年8月に加盟行に対して、融資先企業の会計監査人の設置状況を確認するよう要請しました。そして今回、金融庁も監査報告書の有無は信用リスク上も重要であるとして、金融検査で対応状況の確認に動き出しました。


監査報告書の入手については、銀行の義務とはなっていませんが、金融庁からの指導を受けて対応する銀行が増えつつあります。
融資先企業が法律を遵守しているかを重視する傾向にありますし、非上場であっても大企業に対し監査報告書を求めるこの動きは、新たな融資慣行として定着することも考えられます。


 

<<  2012年5月  >>
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31