ブログ個人トップ | 経営者会報 (社長ブログ)
銀行融資コンサルタント 瀬野 正博 の銀行融資取引や資金調達に関するブログです
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2012年06月11日(月)更新
老舗のチカラ
東京都民銀行は6月1日、創業30年以上あるいは伝統工芸に関わる事業者向けの融資商品(老舗のチカラ)を発表しました。
東京にも伝統工芸というものがあるのはもちろん知っていましたが、東京都伝統工芸士会のHPを参照すると結構あるんですね。
東京都民銀行は地盤である東京にも伝統工芸に関わる企業が多く、伝統工芸を後世に残すためにも、それに関わる企業を支援したいことが目的です。
HPによると、対象は以下のいずれかに該当する法人及び個人事業主です。
①創業30年以上の事業者
長期的な視点を持ち、本業を重視した謙虚な経営により、数々の環境変化を乗り越え、現在まで継続し、長年顧客に選ばれ続けている事業者
②伝統工芸にかかわる事業者
全国伝統的工芸または東京の伝統工芸に認定されている事業者。製造工程の主要部分が手工業的であり、伝統的な技術又は技法により製造を行う事業者
③独自の技術力を評価されているものづくり企業(事業者)
高い品質を実現できる設計力や技術力を持ち、ISO取得や技術力に関する受賞等により、対外的にその技術力を評価されている、ものづくりを生業とする事業者
金額は300万円~5億円、期間は10年以内、担保必要に応じて、保証人は原則1名以上となります。
東京都ではなく千葉県の話ですが、2012年5月28日の千葉日報ネット版によると、昨年度から千葉県は伝統的工芸品のブランド化事業に取り組んでおり、新製品の開発に向け現状把握の為のアンケートが実施されました。
県指定伝統工芸品の生産者94人を対象に、昨年11月から12月の間、年齢や後継者の有無、生産量、売上などを尋ねる調査票を配布し、65人から回答を得ました。
それによると、
・年齢別では60歳以上が52人と約8割に上り、70歳以上も31人(48%)で、高齢化が浮き彫りとなった。
・49人(75%)は従業員を雇わず1人で生産し、後継者がいないと回答した生産者は35人(54%)と担い手不足も深刻。
・しかも約4割は年間売り上げが100万円未満。
このように厳しい状況に置かれていることがわかりましたが、東京にある伝統工芸も似たような状況でしょう。
伝統工芸を後世に残すためにも、東京都民銀行には積極的な支援をお願いしたいと思います。
2012年06月07日(木)更新
中小企業支援に消極的なメガバンク
これからの銀行はコンサルティング機能を求められており、場合によっては廃業を勧めざるを得ないこともあるでしょうが、再建の意欲を持っており赤字幅も縮小している会社に言うセリフではないでしょう。
以前、メガバンクを中心にビジネスローンという融資商品が流行りました。決算書の内容を中心に審査が行われ、担保や信用保証協会が不要なこともあり、資金繰りに困っていた中小企業からの申し込みが多く、ビジネスローンはヒットしました。しかしその一方、ずさんな審査が仇となり、また偽造された決算書も多く、貸し倒れが多く発生しました。メガバンクにとっては、中小企業向け無担保融資は失敗だったわけですが、撤退した頃から中小企業向け融資は厳しくなっています。
現在は中小企業金融円滑化法があるため、既存の融資に関してはリスケジュールで対応するなどのフォローがありますが、新規の融資となると、信用保証協会付きは取り扱っても、プロパー融資は消極的で厳しいのが現状です。
メガバンクは今後の中小企業向け融資に関しては、優良案件や大口案件を中心に行い、融資後の面倒なフォローが発生しない先と付き合っていきたいということでしょう。中小企業は収益額が大きくなく手間もかかることから、中小企業との取引に関しては消極的なように思われます。メリットのない融資先については、ライバル銀行に肩代わりさせる動きすらあります。
地方銀行や信用金庫、信用組合のような地域金融機関というところは、メガバンクと比較すると、中小企業に対する融資姿勢が大きく変化することは基本的にはありません。信用金庫や信用組合にはそれぞれ法律があって、融資できる事業者の規模に制限がかけられています。
・信用金庫
従業員300人以下または資本金9億円以下の事業者
・信用組合
従業員300人以下または資本金3億円以下の事業者(卸売業は100人または1億円、小売業は50人または5千万円、サービス業は100人または5千万円)
信用金庫や信用組合は大企業に融資はできないけれども、銀行には特にそういう制限がないことから、メガバンクは零細企業から大企業まで融資することが可能です。けれども、メガバンクは中小企業に対して継続して支援する気がないのなら、地域金融機関に任せて欲しいように思います。
業績が悪くなったら一番に逃げていくのがメガバンクで、最後まで応援してくれる可能性が高いのは地域金融機関です。中小企業の経営者は、そういうことを理解したうえでメガバンクと付き合いましょう。
2012年06月05日(火)更新
東京の18信用金庫でもATMによる信用金庫相互間での通帳記帳が可能になりました
平成24年6月3日から、東京都内の18信用金庫と、東北地方のすべての信用金庫(27信金)、北海道の17信金、東海地区の38信金との間で、ATMで相互に通帳記帳ができるようになりました。東日本大震災で被災した東北3県の信用金庫からの要望を受けたことが始まりとのことですが、これで全国271信金のうち100信金のATMで通帳の相互記帳が可能となります。
しかし、相互に通帳記帳は可能ですが、他の信用金庫のATMでは新通帳への繰り越しはできません。また、東京の規模の大きな信用金庫(城南、東京東、朝日等)は、独自のシステムを運営しているためこれには参加していません。
参加信用金庫の一覧は以下を参照してください。
http://www.komashin.co.jp/img_up/57619bfb1fa8a419d6471e8fc7b33dc8.pdf
2012年05月29日(火)更新
大東銀行が初の資本性借入金(DDS)を実施
5月11日、大東銀行(本店:福島県郡山市)は、地元の被災企業に対して資本性借入金(DDS)を実施したと公表しました。金融庁は資本性借入金の積極的な活用を促進するために、2011年11月22日に金融検査マニュアルの運用明確化措置を公表しましたが、同行では初めての実施となります。福島県内の建設関連業者1社に対して資本性借入金を実施し、借入金の一部返済を10年間猶予して財務改善を図り経営を支援します。
資本性借入金とは、決算書上では借入金は負債の部に計上されますが、銀行が企業の財務状況等を判断するにあたっては、負債ではなく資本とみなすことができる借入金のことをいいます。
昨年11月に、金融庁は資本性借入金の積極的な活用を促進するため、金融検査マニュアルの運用明確化が行われたわけですが、
資本性借入のメリットとしては
・資金繰りの改善
・新規融資が受けやすくなる
主にこの2つがメリットとなります。今回の福島県の建設関連業者は、今回新たな資金調達ができたのかは不明ですが、借入金の一部を10年間猶予するとのことですから、資金繰り改善のメリットは大きいと思います。
資本性借入金の詳細はこちらを参照してください。http://www.mn-con.jp/category/1568846.html
このように資本性借入金は中小企業にとって良い制度ではありますが、現状では残念ながらあまり利用されていません。大手銀行を中心に実績はあるでしょうが、中小の銀行となるとまだあまり経験をしていない制度であることから、銀行ごとに対応に差があります。それに、この制度はすべての中小企業にというわけにはいきません。営業利益やキャッシュフローが安定して確保できる企業が対象となるでしょう。
2012年05月28日(月)更新
大阪府と大阪市の信用保証協会が統合
大阪府と大阪市は、それぞれが出資する信用保証協会を統合する方針で固まったと5月上旬に報道されました。当初、合併の時期は2015年度を目標としていましたが、その後、2013年度中と前倒しされることになりました。
組織のスリム化による経費削減が目的で、13年度末までに大阪府中小企業信用保証協会が大阪市信用保証協会を吸収合併します。11年3月末で利用企業数は、府協会が10万社(うち大阪市内は3万9千社)、市協会が3万6千社、大阪市内では1万1千社が重複しています。
信用保証協会は各都道府県に1協会ずつ存在するというイメージがありますが、大阪市、横浜市、川崎市、名古屋市、岐阜市には市の保証協会があります。
統合されることで、大阪市保証協会を利用している中小企業の中には、今後の資金繰りに悪影響が出ないかという不安もあるでしょうが、私はそれほど大きな影響はないと思われます。全国の信用保証協会はオンラインでつながっており、他の信用保証協会でどれだけ保証枠を使っているかわかりますし、保証枠は合算して決められるからです。ただ、市協会側の方が審査に甘い部分もあるという指摘がありますので、そうだとしたら府側に統合されてから多少審査が厳しくなったと感じることはあるかもしれません。
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