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2012年04月01日(日)更新

セーフティネット保証5号の特例措置延長へ

経済産業省は、業況の悪化している業種を支援するセーフティネット保証5号について、全82業種を特例措置として平成24年3月31日まで対象としていましたが、4月以降も9月末まで引き続き原則全業種指定を継続することとなりました。
 
しかし10月以降は注意が必要かもしれません。今は対象業種を指定する際、日本標準産業分類の中分類(全82業種)を使っていますが、10月以降は細分類(全1118業種)を利用することになりました。なぜなら、より細かく各業種の業況調査を行うことにより、指定業種とするかどうかを判断するためです。よって、10月以降は対象業種が縮小される可能性も出てきました。
 
半年後の中小企業を取り巻く環境が好転しなければ、引き続き全業種を対象ということもあるでしょうが、今のところその可能性は低くなっていくと考えた方がいいかもしれません。
 
 

2012年04月01日(日)更新

東日本大震災復興緊急保証は1年延長されました

東日本大震災による影響を受けた中小企業者を支援対象とする東日本大震災復興緊急保証は、平成25年3月31日まで1年延長されることになりました。
 
平成23年5月23日からスタートした東日本大震災復興緊急保証は、地震、津波、原発事故による直接被害のみならず、取引先が被災した場合や風評被害の影響等で売上高等が減少した中小企業者も対象としています。
 
なお、市区町村長が対象事業者に認定する際、従来は直近3か月間の売上高等を前年同期の売上高等と比較することとなっていましたが、平成24年度からは、前々年同期の売上高等との比較により認定を行うことも可能となりました。
 
この制度が開始された直後は、首都圏等の都市部を中心に利用が増加していましたが、復興が遅れたこともあり福島県、宮城県、岩手県ではあまり伸びませんでした。
 
しかし最近は、東北地方でも保証実績は増加傾向にあり、本格復興のためにも長い期間での制度運用を希望する声が多いことから、これに応じるため1年延長となりました。
 

2011年12月30日(金)更新

中小企業金融円滑化法の再延長について

自見金融担当相は27日、2012年3月に期限が迫る「中小企業金融円滑化法(以下、金融円滑化法)」の期限を1年間延長し、2013年3月末までとすると正式発表しました。自見担当相はこれ以上の延長はしないと強調した上で、「中小企業の事業再生への支援に軸足を移し、ソフトランディングをする」との考えを示しました。来年の通常国会に同法改正案を提出します。
 
金融円滑化法は景気低迷によって業績が悪化している中小企業支援策として、2009年12月に施行されました。当初は今年3月までの時限措置でしたが1年延長され、今回で2度目の延長となります。
 
金融庁が発表している資料によると今年9月末までで申し込みが約245万件、実行率は97.3%(審査中などを除く)となっています。施行されてから2年以上経ちましたが、リスケジュールの申し込みにほぼ応じてきたのが現実です。なぜなら、金融庁が進めてきた「金融円滑化法に係る条件変更対応の調査」で重視されたのが、「条件変更に応じているか否か」であったことから、再建の見込みが少ない中小企業にも銀行は応じることとなりました。
 
当初は条件変更に応じているかいないか、応じているならば経営改善計画を策定しているか(もしくは条件変更後1年以内に策定する予定になっているか)が問われていました。しかしそれが最近は「条件変更先の経営実態はどのようになっているのか。そして、銀行はどのように対応しているか」という部分に検査ポイントが変わってきました。
 
当初の予想よりも景気が回復せず、それと同様に条件変更先の経営改善の進捗状況は思わしくないケースが多く見受けられます。しかも、債務者区分が下がらないよう、経営改善計画を作成させるが、安易な根拠に基づくため実現性の低い計画も多い。
 
金融庁は、「しっかりとした経営改善計画を策定させ、銀行はその後のフォローをやっているか」という点に目を光らせているのです。それによって、金融円滑化法が終了しても大きな混乱が生じないようにしたいという狙いです。
 
すでに再度のリスケジュールを申し込んだ時、金融円滑化法スタート時に比べると、厳しいことを言われたり簡単に進まなかったりした中小企業が増えてきたように感じます。金融円滑化法が2度目の延長となっても、今までのほぼ応じるという姿勢とは違うと思ったほうがいいでしょう。

2011年12月29日(木)更新

資本性借入金

11月22日、金融庁は金融検査マニュアルにおける「十分な資本的性質が認められる借入金(資本性借入金)」の運用明確化を行いました。
 
資本性借入金とは、借入金は会計上負債として計上されますが、銀行が企業の財務状況等を判断する際に、負債ではなく資本とみなすことができる借入金をいいます。


今回の金融検査マニュアルの変更によって、資本性借入金を資本とみなしやすくしたことから、財務内容が改善され、新規の融資が受けやすくなります。大震災や円高等によって財務内容が悪化し資本不足に直面していても、将来性や経営改善の見通しがある中小企業の利用を想定しています。
 
条件等詳しくは弊社のHPを参照してください。
http://www.mn-con.jp/category/1568846.html
 

2011年12月25日(日)更新

信用保証制度見直しの可能性

中小企業がよく利用している信用保証協会、セーフティネット保証や東日本大震災復興緊急保証等の例外はありますが、2007年から導入された責任共有制度により、原則は融資額の80%保証となっています。

業績が良くないため、セーフティネット保証等100%保証の制度を利用する中小企業は多いのですが、貸す側の銀行からしたらノーリスクのため、審査が不十分であることが多く見受けられます。そして、借りる側の中小企業も保証協会ならプロパーと違い比較的保証も楽に出る、と考えている経営者は多いです。実際、どう見ても先はないだろうという中小企業にも保証が出ています。しかし、今後そのような状況が改められる可能性が出てきました。

今年7月の中小企業政策審議会企業力強化部会と、11月の行政刷新会議の政策仕分けで、現在の保証割合を見直す等を求める提言が相次いだのです。

中小企業政策審議会は、不透明な現在の経済環境下では、引き続き十分な支援が必要ではあるが、「過大な債務を抱えてしまう原因は、100%保証によって融資額が保証されるため、金融機関の融資審査が甘くなっているのではないか」、「信用保証制度については、徐々に役割を減じていくことが今後の政策対応で必要ではないか」という意見がありました。
 
行政刷新会議の提言型政策仕分けでは、信用保証制度について、「信用保証は、借り手の中小企業と貸し手の民間金融機関のモラルハザードを抑制するために、緊急セーフティネット保証の100%保証であっても、部分保証に改めるべきである。」との提言が出ました。
 
信用保証協会に対する保証業務を、日本政策金融公庫(以下、公庫)が担っており、以下の通り毎年大きな赤字を計上しています。
 
公庫HPより
2009年4月から2010年3月期 
公庫の赤字 ▲1兆1,128億円(うち、保証業務の赤字▲9,990億円)
2010年4月から2011年3月期
▲8,865億円(うち、保証業務の赤字▲8,120億円)
2011年4月から2011年9月中間
▲3,069億円(うち、保証業務の赤字▲3,049億円)
このように公庫の赤字の大部分は保証業務によるものとなっています。このような現状では、制度変更に関する意見が出てくるのも仕方ないのかもしれません。
 
経済産業省と金融庁は制度見直しの検討に入っています。信用保証制度が変更される場合には、100%保証制度の見直しや支援先の選別、金融機関にも今以上に負担を強いる内容等、中小企業側には厳しい方向に変更されることが予想されます。
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