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銀行融資コンサルタント 瀬野 正博 の銀行融資取引や資金調達に関するブログです
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2011年09月08日(木)更新
9月2日までの東日本大震災復興緊急保証の保証状況
東日本大震災復興緊急保証(以下、震災緊急保証)の保証状況は、9月2日までで累計4万6270件、1兆1818億円となりました。そして、全体の約3割を占めている東京信用保証協会での実績は、8月31日までで1万2500件、3102億円(速報値)です。
今年3月31日で終了した緊急保証は全国で利用されましたが、今回の制度は東日本、東海、近畿の大都市での利用が目立ち、東京都、福島県、大阪府の順に利用されています。
震災緊急保証は5月23日からスタートし、震災被害を受けた中小企業を対象に資金繰りを支援する制度です。しかし、利用対象者の要件にもよりますが、震災後の3カ月の売上高等が前年同期比▲10~▲15%売上が減少しているというのがありますが、このハードルは結構高いように思います。そのためか、思ったほど件数・金額ともに伸びてはいません。
それに加えて緊急保証の時とは違い、保証協会も保証審査に際してはかなり慎重姿勢になっているように感じます。リーマンショック以降、銀行は規模の小さい会社に対しては、プロパー融資をなるべく避け、緊急保証ばかりを推進してきました。審査とリスクをすべて保証協会が負担させられているという不満でもあるのでしょうか。そうでないにしても、一般保証とは別枠の緊急保証で対応し、さらに別枠で震災緊急保証分を保証することは明らかに借入過多であり、いくら震災の影響で資金繰りに影響が出ているとしても、保証することは難しいと判断してしまうのかもしれません。
今年3月31日で終了した緊急保証は全国で利用されましたが、今回の制度は東日本、東海、近畿の大都市での利用が目立ち、東京都、福島県、大阪府の順に利用されています。
震災緊急保証は5月23日からスタートし、震災被害を受けた中小企業を対象に資金繰りを支援する制度です。しかし、利用対象者の要件にもよりますが、震災後の3カ月の売上高等が前年同期比▲10~▲15%売上が減少しているというのがありますが、このハードルは結構高いように思います。そのためか、思ったほど件数・金額ともに伸びてはいません。
それに加えて緊急保証の時とは違い、保証協会も保証審査に際してはかなり慎重姿勢になっているように感じます。リーマンショック以降、銀行は規模の小さい会社に対しては、プロパー融資をなるべく避け、緊急保証ばかりを推進してきました。審査とリスクをすべて保証協会が負担させられているという不満でもあるのでしょうか。そうでないにしても、一般保証とは別枠の緊急保証で対応し、さらに別枠で震災緊急保証分を保証することは明らかに借入過多であり、いくら震災の影響で資金繰りに影響が出ているとしても、保証することは難しいと判断してしまうのかもしれません。
2011年08月26日(金)更新
地銀の貸出残高が初めて大手銀行を上回る
8月8日に日本銀行から公表された(貸出・資金吸収動向等)(速報)によると、7月の国内貸出金残高において、地方銀行・第二地方銀行が大手銀行(都市銀行、信託銀行等)を初めて上回りました。
2000年初めには100兆円もの差で大手銀行が上回っていましたが、平残ベースで地方銀行は196兆4171億円、大手銀行は196兆3286億円となり、差額は885億円でした。最近数年間は地方銀行が増え続けていたのに対し、大手銀行では減少傾向が続いていました。
長期にわたる景気低迷の影響から、地方の企業を中心に運転資金を確保したいとの動きがみられることから、地方銀行では増えています。事業性融資以外にも地方公共団体向けや住宅ローンを取り込んだ影響もあります。
しかし、大手銀行の場合は、大企業が直接金融市場から社債などによる資金調達が増加していることも影響しているでしょう。
そして、銀行が貸し出す際の金利は、優良貸出先をめぐっての貸出競争の激化や、日銀が昨年夏に企業融資を拡大する為に始めた「成長基盤強化を支援するための資金供給」によって、金利引下げ競争が極めて深刻な状況となっています。国内銀行の貸出金利は総貸出残高の3割を1%未満が占めています。3%以上は全体の6%まで減少しています。
そのような超低金利に加え、担保が少ないなどリスクの大きい中小企業向け融資を敬遠して、大手銀行は安全で確実な収益を確保できる国債の購入が増えています。中小企業への融資に関しては、消極的な姿勢が続くと思われます。
2000年初めには100兆円もの差で大手銀行が上回っていましたが、平残ベースで地方銀行は196兆4171億円、大手銀行は196兆3286億円となり、差額は885億円でした。最近数年間は地方銀行が増え続けていたのに対し、大手銀行では減少傾向が続いていました。
長期にわたる景気低迷の影響から、地方の企業を中心に運転資金を確保したいとの動きがみられることから、地方銀行では増えています。事業性融資以外にも地方公共団体向けや住宅ローンを取り込んだ影響もあります。
しかし、大手銀行の場合は、大企業が直接金融市場から社債などによる資金調達が増加していることも影響しているでしょう。
そして、銀行が貸し出す際の金利は、優良貸出先をめぐっての貸出競争の激化や、日銀が昨年夏に企業融資を拡大する為に始めた「成長基盤強化を支援するための資金供給」によって、金利引下げ競争が極めて深刻な状況となっています。国内銀行の貸出金利は総貸出残高の3割を1%未満が占めています。3%以上は全体の6%まで減少しています。
そのような超低金利に加え、担保が少ないなどリスクの大きい中小企業向け融資を敬遠して、大手銀行は安全で確実な収益を確保できる国債の購入が増えています。中小企業への融資に関しては、消極的な姿勢が続くと思われます。
2011年07月29日(金)更新
ABLの現状
弊社のホームページにどのようなキーワードで検索して来てもらっているのかを調べてみると、ABLが最近とても多くなっています。銀行員が読む月刊誌を出版している会社様から、ABLに関して執筆を依頼もされました(時間的に責任が持てなかったのでお断りをしましたが)。
ABLとは、企業が保有する事業資産を担保として行われる融資です。担保となる事業資産には、売掛債権、機械設備、在庫(原材料、商品等)などがあげられます。
不動産担保や個人保証に過度に依存しない金融手法として、数年前からABLが注目されつつあり、2008年から2009年にかけて4千億円程度まで増加するものの、2010年3月末では3千億円程度まで減少し、最近は取り組み機運自体が停滞気味。依然として企業向け融資全体に占める割合は0.1%程度と非常に少ないのが現状です。しかも適切な管理がなされている担保については、金融検査でも一般担保として認められているにもかかわらず、実質的に無担保と等しい添え担保扱いしている銀行が多い状況です。
ABLの融資残高が減少した原因としては、リーマンショック後の企業の資金需要の減少ということもあるでしょうが、2008年から今年3月末まで取り扱っていた緊急保証制度が、ABLの代替をしていたためと思われます。
融資する側である銀行の立場からしても、担保動産の管理にかかるコストを考えると、緊急保証制度のほうが管理は楽でありしかも信用保証協会が100%保証してくれるので、どうしてもそちらに力を入れるのはやむを得ないのかもしれません。
しかし、中小企業にはABLの対象となる売掛債権が60兆円、在庫商品が40兆円あることから、日本銀行は先月14日に「成長基盤強化を支援するための資金供給」に5千億円の貸付枠を新設しました。今後、金融機関のABLや出資への取り組み実績に応じて、1金融機関当たり500億円を上限に金利0.1%で貸し付けるというものです。
これだけで今後、銀行がABLに積極的になることは難しいでしょうが、少しでも取扱いが増えることを期待したいです。
ABLとは、企業が保有する事業資産を担保として行われる融資です。担保となる事業資産には、売掛債権、機械設備、在庫(原材料、商品等)などがあげられます。
不動産担保や個人保証に過度に依存しない金融手法として、数年前からABLが注目されつつあり、2008年から2009年にかけて4千億円程度まで増加するものの、2010年3月末では3千億円程度まで減少し、最近は取り組み機運自体が停滞気味。依然として企業向け融資全体に占める割合は0.1%程度と非常に少ないのが現状です。しかも適切な管理がなされている担保については、金融検査でも一般担保として認められているにもかかわらず、実質的に無担保と等しい添え担保扱いしている銀行が多い状況です。
ABLの融資残高が減少した原因としては、リーマンショック後の企業の資金需要の減少ということもあるでしょうが、2008年から今年3月末まで取り扱っていた緊急保証制度が、ABLの代替をしていたためと思われます。
融資する側である銀行の立場からしても、担保動産の管理にかかるコストを考えると、緊急保証制度のほうが管理は楽でありしかも信用保証協会が100%保証してくれるので、どうしてもそちらに力を入れるのはやむを得ないのかもしれません。
しかし、中小企業にはABLの対象となる売掛債権が60兆円、在庫商品が40兆円あることから、日本銀行は先月14日に「成長基盤強化を支援するための資金供給」に5千億円の貸付枠を新設しました。今後、金融機関のABLや出資への取り組み実績に応じて、1金融機関当たり500億円を上限に金利0.1%で貸し付けるというものです。
これだけで今後、銀行がABLに積極的になることは難しいでしょうが、少しでも取扱いが増えることを期待したいです。
2011年07月15日(金)更新
東日本大震災復興緊急保証の7月8日までの利用状況
中小企業庁のホームページ内にある資料によると、東日本大震災復興緊急保証が7月8日現在で保証承諾は23,835件、6,665億円に達したとありました。
東日本大震災復興緊急保証(以下、震災緊急)は今年5月23日から取り扱いを開始し、直接及び間接被害を受けた中小企業を対象に、資金繰りを支援する制度です。各銀行とも震災緊急が100%保証であることから、セーフティネット保証と同様に、融資の主力商品としています。
全国で最も利用が多いのは東京都で、全国に占める東京都の割合は件数で約30%となっています。震災の直接・間接被害が多い東日本地域を中心に震災緊急の利用が多いのですが、意外にも特定被災区域の岩手、宮城両県の利用が現状では少ない状況です。また、直接よりも間接被害での利用が全体の7割を占めています。
震災緊急では保証を受けるために、特定被災区域外の中小企業が申し込む場合は、売上減になったことを説明する「理由書」の提出が求められることが面倒であったり、要件になっている前年同期比の売上減少が-10%(あるいは-15%、緊急保証制度の時は-3%以上)以上というところがネックであったりするからでしょうか、緊急保証制度の時のような申込者が窓口に殺到するケースは少ないようです。
東日本大震災復興緊急保証(以下、震災緊急)は今年5月23日から取り扱いを開始し、直接及び間接被害を受けた中小企業を対象に、資金繰りを支援する制度です。各銀行とも震災緊急が100%保証であることから、セーフティネット保証と同様に、融資の主力商品としています。
全国で最も利用が多いのは東京都で、全国に占める東京都の割合は件数で約30%となっています。震災の直接・間接被害が多い東日本地域を中心に震災緊急の利用が多いのですが、意外にも特定被災区域の岩手、宮城両県の利用が現状では少ない状況です。また、直接よりも間接被害での利用が全体の7割を占めています。
震災緊急では保証を受けるために、特定被災区域外の中小企業が申し込む場合は、売上減になったことを説明する「理由書」の提出が求められることが面倒であったり、要件になっている前年同期比の売上減少が-10%(あるいは-15%、緊急保証制度の時は-3%以上)以上というところがネックであったりするからでしょうか、緊急保証制度の時のような申込者が窓口に殺到するケースは少ないようです。
2011年06月22日(水)更新
東京電力への金融支援
6月21日、読売新聞Web版より一部引用
東電、銀行・生保50社に支援要請へ
東京電力が50以上の取引金融機関に対して金融支援を近く要請することが20日、明らかになった。
震災前に借りていた長期・短期の計約2兆円のうち返済期限を迎える融資の借り換えと、残高の維持を求める。融資金利も年1%未満の超低金利を要請する模様だ。ただ、格付け会社ムーディーズ・ジャパンは同日、東電の格付けを投機的水準に引き下げることを決めており、各金融機関は厳しい判断を迫られることになりそうだ。
引用終わり
確かに各金融機関は難しい判断を迫られるでしょうね。大手銀行は支援に積極的ですが、それ以外の金融機関には慎重な姿勢も少なくありません。依然として深刻な状況であり、閣議決定された損害賠償支援法案も成立しないでいますが、法案の早期成立を前提にすれば回収可能性に懸念がないということで支援していくしかないでしょう。
大手銀行は原発事故後に約1兆9,000億円の緊急融資を行っていますが、通常ならリスクが高すぎてとても融資できるようなものではありません。融資を実行した大手銀行の経営者も、リスクの高い融資を実行し返済不能となれば株主代表訴訟を受ける恐れがあるでしょうが、東京電力の経営が揺らげば銀行自身も大きな損失が発生するでしょうし、日本経済のために電力供給がストップすることは避けたいという考えもあったと思います。
原発事故のような大きな事故を中小企業が起こしたら、1%未満の超低金利での融資なんてあり得ない、というか融資しませんけど。仮に融資ができそうだとしても担保や保証人という問題が発生するか、少なくとも貸出金利の大幅引き上げぐらいはあり得ます。ちょっと業績が悪くなっただけで金利引き上げをさせられた中小企業経営者からしたら、経営状況が極めて悪化しているのに、良い時の1%未満のままを不満に思う方も多いでしょう。
私のお客様は三井住友銀行や三菱東京と付き合っている方が多いので、お伺いした時に「何で三井住友銀行は東京電力には甘くて、うちには厳しんだ」と愚痴を聞かされそうです。
東電、銀行・生保50社に支援要請へ
東京電力が50以上の取引金融機関に対して金融支援を近く要請することが20日、明らかになった。
震災前に借りていた長期・短期の計約2兆円のうち返済期限を迎える融資の借り換えと、残高の維持を求める。融資金利も年1%未満の超低金利を要請する模様だ。ただ、格付け会社ムーディーズ・ジャパンは同日、東電の格付けを投機的水準に引き下げることを決めており、各金融機関は厳しい判断を迫られることになりそうだ。
引用終わり
確かに各金融機関は難しい判断を迫られるでしょうね。大手銀行は支援に積極的ですが、それ以外の金融機関には慎重な姿勢も少なくありません。依然として深刻な状況であり、閣議決定された損害賠償支援法案も成立しないでいますが、法案の早期成立を前提にすれば回収可能性に懸念がないということで支援していくしかないでしょう。
大手銀行は原発事故後に約1兆9,000億円の緊急融資を行っていますが、通常ならリスクが高すぎてとても融資できるようなものではありません。融資を実行した大手銀行の経営者も、リスクの高い融資を実行し返済不能となれば株主代表訴訟を受ける恐れがあるでしょうが、東京電力の経営が揺らげば銀行自身も大きな損失が発生するでしょうし、日本経済のために電力供給がストップすることは避けたいという考えもあったと思います。
原発事故のような大きな事故を中小企業が起こしたら、1%未満の超低金利での融資なんてあり得ない、というか融資しませんけど。仮に融資ができそうだとしても担保や保証人という問題が発生するか、少なくとも貸出金利の大幅引き上げぐらいはあり得ます。ちょっと業績が悪くなっただけで金利引き上げをさせられた中小企業経営者からしたら、経営状況が極めて悪化しているのに、良い時の1%未満のままを不満に思う方も多いでしょう。
私のお客様は三井住友銀行や三菱東京と付き合っている方が多いので、お伺いした時に「何で三井住友銀行は東京電力には甘くて、うちには厳しんだ」と愚痴を聞かされそうです。
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