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2012年09月07日(金)更新

減価償却費の負担によって赤字となる場合

 「日本再生戦略」(「平成24年7月31日閣議決定)において、「検査マニュアルにおいて、実質的に赤字でない企業の取扱いについての運用の明確化」を図るとされたことを受け、金融庁は減価償却費の計上よって赤字となる場合の債務者区分の考え方を明確にするため、「金融検査マニュアルに関するよくあるご質問(FAQ)」に質問・回答を追加しました。
 
融資先企業の決算書が赤字に陥った場合、債務者区分は要注意先以下になるのが一般的です。しかし、①創業赤字でも当初の事業計画と大幅な乖離がない。②赤字の原因は一過性のものであり、短期に解消することができる。③赤字であっても返済能力には問題がない―このような場合には、融資先を正常先と判断することが認められています。
 
減価償却費の計上によって赤字になっても、返済能力について特に問題がないと認められる債務者については、債務者区分を「正常先」として判断することは差し支えないと記載されています。
詳しくはこちらを参照してください。
http://www.fsa.go.jp/news/24/ginkou/20120904-1/01.pdf
 
赤字決算を避けるために、減価償却費を計上しなかった(あるいは一部しか計上しない)決算書を意外とよくみかけます。そのようなことをしても、銀行は減価償却費の計上を詳しく確認しています。今回の改定によって、減価償却費を計上して赤字になっても、キャッシュフローは黒字であり返済能力に問題が無ければ、正常先として扱って差し支えないと明確にされました。今後は気にせず減価償却費を法定限度額まで計上するようにしましょう。