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2011年06月22日(水)更新

東京電力への金融支援

6月21日、読売新聞Web版より一部引用
東電、銀行・生保50社に支援要請へ
東京電力が50以上の取引金融機関に対して金融支援を近く要請することが20日、明らかになった。
震災前に借りていた長期・短期の計約2兆円のうち返済期限を迎える融資の借り換えと、残高の維持を求める。融資金利も年1%未満の超低金利を要請する模様だ。ただ、格付け会社ムーディーズ・ジャパンは同日、東電の格付けを投機的水準に引き下げることを決めており、各金融機関は厳しい判断を迫られることになりそうだ。
引用終わり
 
確かに各金融機関は難しい判断を迫られるでしょうね。大手銀行は支援に積極的ですが、それ以外の金融機関には慎重な姿勢も少なくありません。依然として深刻な状況であり、閣議決定された損害賠償支援法案も成立しないでいますが、法案の早期成立を前提にすれば回収可能性に懸念がないということで支援していくしかないでしょう。
 
大手銀行は原発事故後に約1兆9,000億円の緊急融資を行っていますが、通常ならリスクが高すぎてとても融資できるようなものではありません。融資を実行した大手銀行の経営者も、リスクの高い融資を実行し返済不能となれば株主代表訴訟を受ける恐れがあるでしょうが、東京電力の経営が揺らげば銀行自身も大きな損失が発生するでしょうし、日本経済のために電力供給がストップすることは避けたいという考えもあったと思います。
 
原発事故のような大きな事故を中小企業が起こしたら、1%未満の超低金利での融資なんてあり得ない、というか融資しませんけど。仮に融資ができそうだとしても担保や保証人という問題が発生するか、少なくとも貸出金利の大幅引き上げぐらいはあり得ます。ちょっと業績が悪くなっただけで金利引き上げをさせられた中小企業経営者からしたら、経営状況が極めて悪化しているのに、良い時の1%未満のままを不満に思う方も多いでしょう。


私のお客様は三井住友銀行や三菱東京と付き合っている方が多いので、お伺いした時に「何で三井住友銀行は東京電力には甘くて、うちには厳しんだ」と愚痴を聞かされそうです。