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2012年05月15日(火)更新

会社で借りたお金が社長への貸付金に

知り合いの社長さんから、銀行が融資してくれなくて困っていると連絡がありました。
 

損益計算書は3期連続でまあまあの数字、貸借対照表は決して良いとはいえないけど、債務超過にはなっていませんでした。しかし、直近の貸借対照表をチェックしていたとき、その会社にとっては結構大きな金額の短期貸付金を見つけました。およそ5,000万円、すべて社長の口座に流れていました。こういう決算の会社って結構見かけます。


理由を尋ねると、自宅購入の自己資金にしたくて、会社の運転資金として銀行から借り入れ、そのまま社長の口座へということでした。写真を見せてもらったら、とても立派なご自宅でした。


社長の役員報酬は年額で840万円、その中から返済していくとしたら、貸付金が解消されるまでには社長は亡くなっているでしょう。取引銀行からは、これが理由で新たな融資を断られてしまったということでした。


社長への貸付金は、社長が使い込んでいて、解消するのが難しい状態になっていることがほとんどです。金額が小さいとか毎月計画的に返済が行われているというならまだいいのですが、実際はずっとそのままかむしろ増えていくことのほうが多いと思います。または赤字決算を回避するために、経費を貸付金や仮払金等の科目にしてしまっていることもよくあります。ただ、どちらにしても資産価値が無いことにはかわりないので、貸付金の金額がいくらあろうとも0円と評価されてしまうことはよくあります。


数年前のことですが、ある保険会社から保険を使って貸付金を解消する商品の説明を受けたことがあります。今もそのような保険商品があるのか知りませんが、貸付金の解消は、社長の個人資産か役員報酬で返済していくのが原則です。残高が膨れてしまうと解消するのが面倒ですし、銀行が嫌がる勘定科目の1つですから注意してください。

 

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