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2012年06月07日(木)更新

中小企業支援に消極的なメガバンク

昨日お会いした会社さん、業績は正直言って良くないけど、役員報酬を引き下げる等の改善によってもう少しで利益計上できそうな会社です。そこの社長から聞いた話ですけど、取引銀行の1つである三菱東京UFJ銀行の行員がやってきて、「よくこんな決算内容で事業を続けていますね」と言われ、そしておまけに「もう会社たたんだら」とも言われたそうです。
 
これからの銀行はコンサルティング機能を求められており、場合によっては廃業を勧めざるを得ないこともあるでしょうが、再建の意欲を持っており赤字幅も縮小している会社に言うセリフではないでしょう。
 
以前、メガバンクを中心にビジネスローンという融資商品が流行りました。決算書の内容を中心に審査が行われ、担保や信用保証協会が不要なこともあり、資金繰りに困っていた中小企業からの申し込みが多く、ビジネスローンはヒットしました。しかしその一方、ずさんな審査が仇となり、また偽造された決算書も多く、貸し倒れが多く発生しました。メガバンクにとっては、中小企業向け無担保融資は失敗だったわけですが、撤退した頃から中小企業向け融資は厳しくなっています。
 
現在は中小企業金融円滑化法があるため、既存の融資に関してはリスケジュールで対応するなどのフォローがありますが、新規の融資となると、信用保証協会付きは取り扱っても、プロパー融資は消極的で厳しいのが現状です。
 
メガバンクは今後の中小企業向け融資に関しては、優良案件や大口案件を中心に行い、融資後の面倒なフォローが発生しない先と付き合っていきたいということでしょう。中小企業は収益額が大きくなく手間もかかることから、中小企業との取引に関しては消極的なように思われます。メリットのない融資先については、ライバル銀行に肩代わりさせる動きすらあります。
 
地方銀行や信用金庫、信用組合のような地域金融機関というところは、メガバンクと比較すると、中小企業に対する融資姿勢が大きく変化することは基本的にはありません。信用金庫や信用組合にはそれぞれ法律があって、融資できる事業者の規模に制限がかけられています。
・信用金庫
従業員300人以下または資本金9億円以下の事業者
・信用組合
従業員300人以下または資本金3億円以下の事業者(卸売業は100人または1億円、小売業は50人または5千万円、サービス業は100人または5千万円)
 
信用金庫や信用組合は大企業に融資はできないけれども、銀行には特にそういう制限がないことから、メガバンクは零細企業から大企業まで融資することが可能です。けれども、メガバンクは中小企業に対して継続して支援する気がないのなら、地域金融機関に任せて欲しいように思います。
 
業績が悪くなったら一番に逃げていくのがメガバンクで、最後まで応援してくれる可能性が高いのは地域金融機関です。中小企業の経営者は、そういうことを理解したうえでメガバンクと付き合いましょう。
 

2012年06月05日(火)更新

東京の18信用金庫でもATMによる信用金庫相互間での通帳記帳が可能になりました

平成24年6月3日から、東京都内の18信用金庫と、東北地方のすべての信用金庫(27信金)、北海道の17信金、東海地区の38信金との間で、ATMで相互に通帳記帳ができるようになりました。東日本大震災で被災した東北3県の信用金庫からの要望を受けたことが始まりとのことですが、これで全国271信金のうち100信金のATMで通帳の相互記帳が可能となります。


しかし、相互に通帳記帳は可能ですが、他の信用金庫のATMでは新通帳への繰り越しはできません。また、東京の規模の大きな信用金庫(城南、東京東、朝日等)は、独自のシステムを運営しているためこれには参加していません。


参加信用金庫の一覧は以下を参照してください。
http://www.komashin.co.jp/img_up/57619bfb1fa8a419d6471e8fc7b33dc8.pdf

2012年06月02日(土)更新

金融機関は今年も節電に協力します

6月から9月末まではスーパークールビズだそうです。
 

政府は5月18日に今夏の電力需給対策として、7月2日から9月7日の平日(8月13日から15日を除く)午前9時から午後8時までの間、沖縄を除いて全国的に節電を要請、数値目標は関西15%、九州10%、北海道・四国が7%、中部・北陸・中国5%となりました。


これを受けて、金融庁は7電力管内(北海道、関西、九州、四国、中部、北陸、中国)の金融機関に対して節電を要請します。数値目標のある電力会社管内の金融機関に対しては、昨年の夏同様に節電行動計画の提出を求めます。


夏でもエアコンが効きすぎて寒いイメージのある金融機関も、去年は節電にはかなり協力しました。ある信用金庫では、お客様と直接接しない本部はエアコンを使わず扇風機、エレベーターは使わず階段を利用するようにしました。他の金融機関でも、多少の差はあっても同じような感じで節電に協力しました。


営業店では設定温度が低いと「節電に協力しないとは何事だ」と怒る人がいたと聞きました。でも逆に温度を上げると、暑いと怒る人もいたそうですけど。


渉外担当者は暑い外を営業して戻ってきても、支店内も暑く(顧客が立ち入らない部屋はエアコン禁止にした金融機関がありました)、体調を崩す行員も出ました。昼間の電気代が高くなるようですが、銀行員が来てくれたときだけでも設定温度を低くしてあげれば喜ばれますし、融資の相談もゆっくり聞いてくれるかもしれませんね。

 

2012年05月30日(水)更新

銀行員を地場企業へ出向

2012年5月30日 読売新聞web版より一部引用
中銀行員 企業で修業中 地域と関係強化
会社の成長力や事業の収益性を評価する「目利き力」を養成しようと、山梨中央銀行は4月から、若手、中堅の行員10人を地場企業に出向させている。取引先に1年間の修業を受け入れてもらい、5年間で計約50人を派遣する計画。ものづくりやサービスの現場で得た経験を、取引先のビジネスチャンス、地域経済の活性化に結び付ける狙いだ。
 

中銀では昨年、円高の進行などで県内からの企業流出が相次ぐ事態を想定し、地域に根ざした地場企業の役割が重要になると分析。地方銀行として支援強化を図るには、「さらに一歩踏み込んだ対応が必要」として今回の事業に踏み切った。
引用ここまで


銀行員時代の話ですが、私が融資課にいたときは人手不足で融資先企業を訪問することがあまりできませんでした。そのため、企業をよく理解しないで稟議書を作成することがよくありました。
その後、渉外担当者になってからは、社長との面談や取扱商品を見ることも増え、事務所や工場を見ることもできたので、稟議書の作成もスムーズになりました。そして、その企業の問題点や改善すべき点などもわかるようになりました。


しかし、それだけで企業のすべてが分かるわけではありません。そこからさらに踏み込んで、行員を企業に1年間派遣して目利き力を高めるために、地場企業で修業させるこの取り組み、行員の能力向上と地域経済の活性化のためにも良い取り組みだと思います。


山梨中央銀行よりも前に、似たような取り組みは京都信用金庫ではすでに行われていて、約1か月間と短いですが17年度より実施されています。当初受け入れる側の企業は、信金職員が来るということで警戒心もあったようですが、自社の事業内容を詳しく理解してもらえる良い機会と好評のようです。山梨中央銀行のほうも、地元企業はおおむね歓迎しています。


ライバル行よりも企業と親密になれますし、目利き能力向上によって融資以外での企業支援も期待できますから、規模の小さなところは人的に難しい面もありますが、他行でもこのような取り組みは増えてくるような気がします。

2012年05月29日(火)更新

大東銀行が初の資本性借入金(DDS)を実施

5月11日、大東銀行(本店:福島県郡山市)は、地元の被災企業に対して資本性借入金(DDS)を実施したと公表しました。金融庁は資本性借入金の積極的な活用を促進するために、2011年11月22日に金融検査マニュアルの運用明確化措置を公表しましたが、同行では初めての実施となります。福島県内の建設関連業者1社に対して資本性借入金を実施し、借入金の一部返済を10年間猶予して財務改善を図り経営を支援します。
 

資本性借入金とは、決算書上では借入金は負債の部に計上されますが、銀行が企業の財務状況等を判断するにあたっては、負債ではなく資本とみなすことができる借入金のことをいいます。


昨年11月に、金融庁は資本性借入金の積極的な活用を促進するため、金融検査マニュアルの運用明確化が行われたわけですが、
資本性借入のメリットとしては
・資金繰りの改善
・新規融資が受けやすくなる

主にこの2つがメリットとなります。今回の福島県の建設関連業者は、今回新たな資金調達ができたのかは不明ですが、借入金の一部を10年間猶予するとのことですから、資金繰り改善のメリットは大きいと思います。

資本性借入金の詳細はこちらを参照してください。http://www.mn-con.jp/category/1568846.html


このように資本性借入金は中小企業にとって良い制度ではありますが、現状では残念ながらあまり利用されていません。大手銀行を中心に実績はあるでしょうが、中小の銀行となるとまだあまり経験をしていない制度であることから、銀行ごとに対応に差があります。それに、この制度はすべての中小企業にというわけにはいきません。営業利益やキャッシュフローが安定して確保できる企業が対象となるでしょう。


 

2012年05月28日(月)更新

大阪府と大阪市の信用保証協会が統合

大阪府と大阪市は、それぞれが出資する信用保証協会を統合する方針で固まったと5月上旬に報道されました。当初、合併の時期は2015年度を目標としていましたが、その後、2013年度中と前倒しされることになりました。
 

組織のスリム化による経費削減が目的で、13年度末までに大阪府中小企業信用保証協会が大阪市信用保証協会を吸収合併します。11年3月末で利用企業数は、府協会が10万社(うち大阪市内は3万9千社)、市協会が3万6千社、大阪市内では1万1千社が重複しています。


信用保証協会は各都道府県に1協会ずつ存在するというイメージがありますが、大阪市、横浜市、川崎市、名古屋市、岐阜市には市の保証協会があります。


統合されることで、大阪市保証協会を利用している中小企業の中には、今後の資金繰りに悪影響が出ないかという不安もあるでしょうが、私はそれほど大きな影響はないと思われます。全国の信用保証協会はオンラインでつながっており、他の信用保証協会でどれだけ保証枠を使っているかわかりますし、保証枠は合算して決められるからです。ただ、市協会側の方が審査に甘い部分もあるという指摘がありますので、そうだとしたら府側に統合されてから多少審査が厳しくなったと感じることはあるかもしれません。

 

2012年05月23日(水)更新

新入職員の安全運転講習

先月4月12日に京都市東山区で自動車の暴走事故が発生してから、京都府亀岡市、千葉県館山市、愛知県岡崎市と立て続けに発生しました。銀行員は自動車やバイクをよく利用することから、安全運転を徹底するよう指示している銀行もあるでしょう。


私は自動車やバイクというものに全く興味がないのですが、若い人を中心に自動車やバイクには興味がないという人が多いように感じます。収入的に所有したり維持することが難しい人が増えていることもあるでしょうし、趣味の多様化等様々な要因があるのでしょう。そのため、運転免許証は持っているけど、私みたいに身分証明書になっているペーパードライバーが私の周りの若い人には多いです。


銀行なら外で営業するときは自動車やバイクを使うことは当然あり得るわけですが、そういう若者が多いためか運転が苦手な新入行員が増えてきているようです。免許を取ってから運転をしたことがない人もいて、営業ノルマよりも行員が事故を起こさず帰ってくるか心配なんていう話も聞きます。


ある信用金庫ではそんな若い職員のために、4月下旬に安全運転講習を行いました。来年度以降も新人研修で行う予定だそうです。他でもこういう研修が行われそうですね。


 

2012年05月22日(火)更新

中小企業の倒産防止のための出口戦略


中小企業金融円滑化法(以下、金融円滑化法)が施行されてからは、銀行は条件変更を申し込まれた場合、基本的には応じる姿勢のところが多いことから、実行率は約97%と極めて高い数字を維持しています。

昨年9月末時点で条件変更が実施された件数は約228万件あり、1社で複数の借入の条件変更を行うことが多いでしょうし、再変更の場合も多く、金融庁は企業数では30~40万社と見ています。さらに抜本的な事業再生や転廃業等の支援が必要な中小企業は5~6万社あると見込まれています。
 

今年1月に財務省北陸財務局から公表された「地域経済と地域金融機関の現状及び課題について」によると、条件変更を行っている企業の経営改善の状況は、概ね改善14.8%、ほぼ不変64.0%、悪化している21.2%という結果で、改善よりも悪化しているほうが多く、これは他の地域でもあまり変わらないと思われます。
 

金融円滑化法はもう1度の延長というのが現時点では無いことから、政府は金融円滑化法終了と共に中小企業の倒産が急増することを懸念しています。そこで各銀行に対してコンサルティング機能の発揮を求めてきたり、昨年11月には借入金を資本とみなすことができる資本性借入金の明確化措置を表明しました。そして、4月20日には、内閣府・金融庁・中小企業庁から「中小企業金融円滑化法の最終延長を踏まえた中小企業の経営支援のための政策パッケージ」が公表されました。中小企業の経営改善・事業再生の促進を図るため、以下の3つの取り組みを推進していくことになります。
 

1、コンサルティング機能の一層の発揮、
2、企業再生支援機構及び中小企業再生支援協議会の機能及び連携の強化
3、その他経営改善・事業再生支援の環境整備

詳細は以下を参照してください
http://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/2012/0420Enkatsu-encho.htm


さらに金融庁と財務局は5月中旬から6月にかけ、すべての銀行、信用金庫、信用組合に対し出口戦略ヒアリングを開始、条件変更先に対する支援方針や取り組み状況を確認し、抜本的な再生支援が必要だが具体策が乏しい場合には、政府がこれまで打ち出してきた支援策を活用するよう求めるものと見られます。それによって短期間に多くの中小企業再生を行っていく狙いです。

金融円滑化法がスタートしたころは、条件変更を行えば改善あるいは再生できる中小企業も多かったでしょう。しかし現在は、再生あるいは廃業にもっと踏み込むべきであるが、将来性が見えない状態で延命させている融資先企業が多く残っている状況です。
 

銀行側からすると返済条件の変更以外、思い切った支援が取りづらかった中小企業に対し、残りの1年で事業再生が可能な先と継続不可能な先とに見極め、再生あるいは廃業を実現していくことになります。そのため、将来の見通しが全く立たない企業は、廃業という選択肢を視野に入れる必要があるでしょう。しかし、再生の可能性が高い融資先に対しては、債権放棄や資本性借入金の活用といった今までよりも踏み込んだ支援を得られる企業も出てくるでしょう。

 

2012年05月17日(木)更新

東京都への寄附金がもう少しで7億円

東京都が購入を予定している尖閣諸島ですが、寄附が随分集まっていますね。
今、東京都のホームページで確認したら、5月16日までで50,733件 693,445,018円になっていました。


5月01日(火)まで   5,428件   76,007,211円
5月02日(水)まで  9,349件  125,351,220円 
5月07日(月)まで 17,752件 227,898,890円 
5月08日(火)まで 23,402件 314,599,779円 
5月09日(水)まで 28,231件 372,299,096円 
5月10日(木)まで 33,518件 441,380,943円 
5月11日(金)まで 37,443件 503,448,459円 
5月14日(月)まで 45,089件 609,282,032円
5月15日(火)まで 48,133件 653,212,691円
5月16日(水)まで 50,733件 693,445,018円
 

1件あたり平均すると13,668円にもなり、意外と多いような気がします。


東京都は以下の口座でのみ寄附を受け付けています。

みずほ銀行 東京都庁出張所(店番号777)
普通預金 口座番号 1053860
口座名「東京都尖閣諸島寄附金」

http://www.chijihon.metro.tokyo.jp/senkaku.htm


この口座以外に寄附を受付する窓口は無いとのことですから、それ以外で募集していたら注意が必要でしょう。

 

2012年05月15日(火)更新

会社で借りたお金が社長への貸付金に

知り合いの社長さんから、銀行が融資してくれなくて困っていると連絡がありました。
 

損益計算書は3期連続でまあまあの数字、貸借対照表は決して良いとはいえないけど、債務超過にはなっていませんでした。しかし、直近の貸借対照表をチェックしていたとき、その会社にとっては結構大きな金額の短期貸付金を見つけました。およそ5,000万円、すべて社長の口座に流れていました。こういう決算の会社って結構見かけます。


理由を尋ねると、自宅購入の自己資金にしたくて、会社の運転資金として銀行から借り入れ、そのまま社長の口座へということでした。写真を見せてもらったら、とても立派なご自宅でした。


社長の役員報酬は年額で840万円、その中から返済していくとしたら、貸付金が解消されるまでには社長は亡くなっているでしょう。取引銀行からは、これが理由で新たな融資を断られてしまったということでした。


社長への貸付金は、社長が使い込んでいて、解消するのが難しい状態になっていることがほとんどです。金額が小さいとか毎月計画的に返済が行われているというならまだいいのですが、実際はずっとそのままかむしろ増えていくことのほうが多いと思います。または赤字決算を回避するために、経費を貸付金や仮払金等の科目にしてしまっていることもよくあります。ただ、どちらにしても資産価値が無いことにはかわりないので、貸付金の金額がいくらあろうとも0円と評価されてしまうことはよくあります。


数年前のことですが、ある保険会社から保険を使って貸付金を解消する商品の説明を受けたことがあります。今もそのような保険商品があるのか知りませんが、貸付金の解消は、社長の個人資産か役員報酬で返済していくのが原則です。残高が膨れてしまうと解消するのが面倒ですし、銀行が嫌がる勘定科目の1つですから注意してください。

 

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会社概要

銀行での融資経験や税理士事務所での法人担当経験を生かし、中小企業の経理部長となって銀行融資取引や、提携税理士と共に経理業務のサポートを行っています。

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個人プロフィール

1971年7月1日東京都江戸川区生まれ。地方銀行や税理士事務所で働いてきましたが、今まで以上に中小企業の経理財務をサポートしていきたく起業しました。

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