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2012年04月26日(木)更新

保証協会付き融資の代位弁済実績を銀行別に公表へ

中小企業庁は、信用保証協会の保証付き融資の銀行(信金、信組も含みます)別代位弁済実績を、全国の信用保証協会で情報開示する方向で検討に入りました。公表される情報や方法等については、信用保証協会と調整を進めていき、準備ができ次第、早急に公表する予定です。
 
すでに全国52の信用保証協会のうち31の協会では、ホームページで公表しているのですが、残りの21の協会に対しても、公表に向けた調整を進めていくことになります。

今年3月29日に参院財政金融委員会で、民主党の大久保勉議員から、銀行のモラルハザードを回避するためにも代位弁済を求めた銀行名の公表を要請されたことによります。
 
2008年10月31日からスタートした緊急保証制度は、100%保証であったこともあり利用件数・金額(27兆2千億円)は多かったものの、代位弁済が増加しており今年2月までの累計額は7,541億円まで増加しています。
 
全体の代位弁済額はリーマンショック後に急増、08~09年度に2年連続1兆円を突破しました。2009年12月の中小企業金融円滑化法施行後は、リスケジュールによる資金繰り改善によって前年同月比で減少傾向が続いています。しかし、2013年3月末で中小企業金融円滑化法が終了すると、代位弁済が増加することは避けられない見通しです。 そこで銀行別代位弁済額を公表することで、今後の財政負担抑制と銀行のモラルハザードを防いでいくということです。
 
銀行からしたら、代位弁済額の結果が他行よりも悪ければ、新たな代位弁済発生を抑えるために、案件によっては躊躇するケースも出てくるかもしれません。
 
しかし、「信保付きならリスクが少ないから管理が楽だ」、あるいは、「信保がOKなら融資するけど、そうでなければやらない」と、本来銀行がするべき審査自体を信保に丸投げするようなことも見かけます。銀行にそのような姿勢を少しでも改めさせるには、このような情報開示は仕方ないでしょう。
 
審査への影響を懸念する声もありますが、代位弁済は最終的には税金投入をすることになるわけですから、代位弁済額を公表するというのも透明性のために必要なことかもしれません。

2012年04月18日(水)更新

ひょうご連携支援保証

 
兵庫県信用保証協会は、依然として厳しい経営環境に晒されている中小企業者に対して、新たな資金を供給し、長期かつ柔軟な返済によって資金繰りの改善を図ることを目的として、平成24年4月1日から協会独自の保証制度「ひょうご連携支援保証」の取り扱いを始めています。
 
この保証制度の詳しい内容については以下を参照してください。
http://hosyokyokai-hyogo.or.jp/upfile/renkei.pdf
 
この保証制度の主な特徴としては以下の3つが挙げられ、全国でも珍しいと思います
・保証協会と銀行との協調による融資
この制度を使った保証付き融資と同時に、保証付き融資の6割以上の金額をプロパー融資で実行することが条件となっています。
 
・保証期間が超長期
期間は最長で15年、この制度を使った保証付き融資とプロパー融資の期間は同一とします。
 
・柔軟な返済方法
元金均等分割返済だけでなく元金不均等分割返済も可能。
 
超長期で柔軟な返済が可能であり、プロパー融資でも対応しなければならないことから、銀行と信用保証協会にとっては通常の保証協会付き融資よりもリスクが高くなります。ある程度業績のしっかりした、あるいは将来の業績改善が大いに見込める中小企業者が対象となるでしょう。
 
また、このように各信用保証協会独自の保証制度が開始されることも考えられますから、自社が利用している信用保証協会のホームページを時々チェックしておくといいでしょう。
 
 
 

2012年04月15日(日)更新

融資の返事をすぐに求めない

先週お会いした社長さんからの相談の中に、融資を申し込んでからどれぐらいで実行されるのでしょうか、というものがありました。最近、そういう質問をされる社長さんがとても増えたように感じます。
 
運転資金ということでしたので、通常でしたら2週間から遅くても1カ月もあれば融資されると思うのですが、なんと3か月も待たされていると言います。もちろん融資案件によってそれよりも早くなったり、遅くなったりすることはありますが。
 
融資となると、何となくお願いする立場だからと、しつこく聞いてもいけないと思う気持ちは理解できますが、3カ月というのは待ちすぎです。
 
行員の能力差や、一人あたりの仕事が増えて対応が遅くなってしまうこともあるでしょうが、ちょっと遅いかなと思ったら担当者に進捗状況を確認してみましょう。もし担当者で駄目ならば、遠慮なく上司に確認してみた方がいいでしょう。もし担当者が頼りない人でしたら、できれば融資を申し込むときに、担当者の上司の方とも会っておいたほうがいいです。
 
ただ、逆にあまりにも早く結果を求めようとする社長さんもいます。しかし、これは絶対にしないでください。資金繰りが苦しいから融資を申し込むわけですし、企業側としては早く結論を求めたいところですが、焦ってしまう気持ちが銀行に伝わってしまうと、融資するには危険な会社なのではと思われてしまいます。

2012年04月06日(金)更新

経済産業省はリースの支払い猶予を引き続き要請

経済産業省は、中小企業金融円滑化法が平成25年3月31日まで1年再延長されることを踏まえ、社団法人リース事業協会に対し、所属するリース会社に支払い猶予を柔軟かつ適切に対応するよう、引き続き周知徹底することを求めることとしました。

中小企業の中には、リース会社への支払いがかなり負担になっている会社もあるかと思います。昔でしたら支払条件の変更をリース会社に依頼しても、認められることはあまりなかったかもしれません。中小企業金融円滑化法は銀行、信用金庫、信用組合といった金融機関を対象にした法律ですが、平成22年年4月16日付にて、経済産業省から社団法人リース事業協会に支払い猶予を要請してからは、リースの支払い条件変更がかなり認められやすくなりました。

しかし、あくまでも経済産業省から社団法人リース事業協会への要請であり、リース会社が必ず従わなければならないわけではありません。そのため、銀行に対するリスケジュールよりもハードルは高く、簡単にいかないケースも多々あります。 まずは銀行から交渉を行い、銀行とのリスケ交渉が終了してから、リース会社に依頼したほうがいいでしょう。

また、銀行の場合は利払いだけで元金返済額を0円にすることも可能ですが、リースの場合はそこまで減額してくれることは無いと考えたほうがいいです。期間のほうも6カ月が限度という場合がほとんどですが、再度の支払条件変更をしてもらえる可能性はもちろんあります。

銀行にリスケをお願いした時に作成した経営改善計画書を持参し、丁寧に粘り強く交渉する姿勢が必要です。

2012年04月04日(水)更新

那須信用組合に公的資金を注入

3月30日に、預金保険機構が那須信用組合に対して、54億円の公的資金を注入したと発表がありました。資本増強のため、改正金融機能強化法に基づき実行されました。信用組合業界の中央組織である全国信用協同組合連合会が実施した資本支援と合わせると、合計70億円が那須信用組合に注入されたことになります。
 
那須信用組合は、栃木県那須塩原市に本店があり、栃木県北部を主な営業基盤としています。東日本大震災や原発事故に伴う被害を受けた取引先も多く、3月14日にこの内容が公表されたとき、貸倒引当金を約24億円計上することで、2012年3月期決算は32億円程度の赤字と予想され、2011年9月末で5.58%だった自己資本比率は、この公的資金によって16.2%程度まで上昇する見込みです。
 
公的資金を受けた那須信用組合は、資本増強に伴い策定した経営強化計画の一環として、4月2日から中小企業者向けの融資「なすしんハッスル応援団」の取り扱いを開始しました。震災の直接・間接被害または原発事故による風評被害、または長引く景気低迷等の影響を受けている中小企業者が対象で、融資限度額は500万円と少額ですが、既存の事業性融資と比べると金利を低く設定してあります。 詳細はこちらを参照してください。

私のお客様が栃木県那須塩原市の近くに1社ありまして、先日お伺いしてきました。去年3月は売上が全く立たない状態でしたが、奇跡的にも建物や設備に大きな影響も無く、業績はすぐに回復しました。ただ、そこの社長がよく那須に行くそうなのですが、観光客の数はまだまだと言っていました。1年経っても首都圏ナンバーの車はまだ少ないとのことでした。観光客数が震災前の状態まで戻るには時間がかかるでしょうから、那須信用組合の積極的なサポートを期待したいと思います。
 
 

2012年04月01日(日)更新

セーフティネット保証5号の特例措置延長へ

経済産業省は、業況の悪化している業種を支援するセーフティネット保証5号について、全82業種を特例措置として平成24年3月31日まで対象としていましたが、4月以降も9月末まで引き続き原則全業種指定を継続することとなりました。
 
しかし10月以降は注意が必要かもしれません。今は対象業種を指定する際、日本標準産業分類の中分類(全82業種)を使っていますが、10月以降は細分類(全1118業種)を利用することになりました。なぜなら、より細かく各業種の業況調査を行うことにより、指定業種とするかどうかを判断するためです。よって、10月以降は対象業種が縮小される可能性も出てきました。
 
半年後の中小企業を取り巻く環境が好転しなければ、引き続き全業種を対象ということもあるでしょうが、今のところその可能性は低くなっていくと考えた方がいいかもしれません。
 
 

2012年04月01日(日)更新

東日本大震災復興緊急保証は1年延長されました

東日本大震災による影響を受けた中小企業者を支援対象とする東日本大震災復興緊急保証は、平成25年3月31日まで1年延長されることになりました。
 
平成23年5月23日からスタートした東日本大震災復興緊急保証は、地震、津波、原発事故による直接被害のみならず、取引先が被災した場合や風評被害の影響等で売上高等が減少した中小企業者も対象としています。
 
なお、市区町村長が対象事業者に認定する際、従来は直近3か月間の売上高等を前年同期の売上高等と比較することとなっていましたが、平成24年度からは、前々年同期の売上高等との比較により認定を行うことも可能となりました。
 
この制度が開始された直後は、首都圏等の都市部を中心に利用が増加していましたが、復興が遅れたこともあり福島県、宮城県、岩手県ではあまり伸びませんでした。
 
しかし最近は、東北地方でも保証実績は増加傾向にあり、本格復興のためにも長い期間での制度運用を希望する声が多いことから、これに応じるため1年延長となりました。
 

2011年12月30日(金)更新

中小企業金融円滑化法の再延長について

自見金融担当相は27日、2012年3月に期限が迫る「中小企業金融円滑化法(以下、金融円滑化法)」の期限を1年間延長し、2013年3月末までとすると正式発表しました。自見担当相はこれ以上の延長はしないと強調した上で、「中小企業の事業再生への支援に軸足を移し、ソフトランディングをする」との考えを示しました。来年の通常国会に同法改正案を提出します。
 
金融円滑化法は景気低迷によって業績が悪化している中小企業支援策として、2009年12月に施行されました。当初は今年3月までの時限措置でしたが1年延長され、今回で2度目の延長となります。
 
金融庁が発表している資料によると今年9月末までで申し込みが約245万件、実行率は97.3%(審査中などを除く)となっています。施行されてから2年以上経ちましたが、リスケジュールの申し込みにほぼ応じてきたのが現実です。なぜなら、金融庁が進めてきた「金融円滑化法に係る条件変更対応の調査」で重視されたのが、「条件変更に応じているか否か」であったことから、再建の見込みが少ない中小企業にも銀行は応じることとなりました。
 
当初は条件変更に応じているかいないか、応じているならば経営改善計画を策定しているか(もしくは条件変更後1年以内に策定する予定になっているか)が問われていました。しかしそれが最近は「条件変更先の経営実態はどのようになっているのか。そして、銀行はどのように対応しているか」という部分に検査ポイントが変わってきました。
 
当初の予想よりも景気が回復せず、それと同様に条件変更先の経営改善の進捗状況は思わしくないケースが多く見受けられます。しかも、債務者区分が下がらないよう、経営改善計画を作成させるが、安易な根拠に基づくため実現性の低い計画も多い。
 
金融庁は、「しっかりとした経営改善計画を策定させ、銀行はその後のフォローをやっているか」という点に目を光らせているのです。それによって、金融円滑化法が終了しても大きな混乱が生じないようにしたいという狙いです。
 
すでに再度のリスケジュールを申し込んだ時、金融円滑化法スタート時に比べると、厳しいことを言われたり簡単に進まなかったりした中小企業が増えてきたように感じます。金融円滑化法が2度目の延長となっても、今までのほぼ応じるという姿勢とは違うと思ったほうがいいでしょう。

2011年12月29日(木)更新

資本性借入金

11月22日、金融庁は金融検査マニュアルにおける「十分な資本的性質が認められる借入金(資本性借入金)」の運用明確化を行いました。
 
資本性借入金とは、借入金は会計上負債として計上されますが、銀行が企業の財務状況等を判断する際に、負債ではなく資本とみなすことができる借入金をいいます。


今回の金融検査マニュアルの変更によって、資本性借入金を資本とみなしやすくしたことから、財務内容が改善され、新規の融資が受けやすくなります。大震災や円高等によって財務内容が悪化し資本不足に直面していても、将来性や経営改善の見通しがある中小企業の利用を想定しています。
 
条件等詳しくは弊社のHPを参照してください。
http://www.mn-con.jp/category/1568846.html
 

2011年12月25日(日)更新

信用保証制度見直しの可能性

中小企業がよく利用している信用保証協会、セーフティネット保証や東日本大震災復興緊急保証等の例外はありますが、2007年から導入された責任共有制度により、原則は融資額の80%保証となっています。

業績が良くないため、セーフティネット保証等100%保証の制度を利用する中小企業は多いのですが、貸す側の銀行からしたらノーリスクのため、審査が不十分であることが多く見受けられます。そして、借りる側の中小企業も保証協会ならプロパーと違い比較的保証も楽に出る、と考えている経営者は多いです。実際、どう見ても先はないだろうという中小企業にも保証が出ています。しかし、今後そのような状況が改められる可能性が出てきました。

今年7月の中小企業政策審議会企業力強化部会と、11月の行政刷新会議の政策仕分けで、現在の保証割合を見直す等を求める提言が相次いだのです。

中小企業政策審議会は、不透明な現在の経済環境下では、引き続き十分な支援が必要ではあるが、「過大な債務を抱えてしまう原因は、100%保証によって融資額が保証されるため、金融機関の融資審査が甘くなっているのではないか」、「信用保証制度については、徐々に役割を減じていくことが今後の政策対応で必要ではないか」という意見がありました。
 
行政刷新会議の提言型政策仕分けでは、信用保証制度について、「信用保証は、借り手の中小企業と貸し手の民間金融機関のモラルハザードを抑制するために、緊急セーフティネット保証の100%保証であっても、部分保証に改めるべきである。」との提言が出ました。
 
信用保証協会に対する保証業務を、日本政策金融公庫(以下、公庫)が担っており、以下の通り毎年大きな赤字を計上しています。
 
公庫HPより
2009年4月から2010年3月期 
公庫の赤字 ▲1兆1,128億円(うち、保証業務の赤字▲9,990億円)
2010年4月から2011年3月期
▲8,865億円(うち、保証業務の赤字▲8,120億円)
2011年4月から2011年9月中間
▲3,069億円(うち、保証業務の赤字▲3,049億円)
このように公庫の赤字の大部分は保証業務によるものとなっています。このような現状では、制度変更に関する意見が出てくるのも仕方ないのかもしれません。
 
経済産業省と金融庁は制度見直しの検討に入っています。信用保証制度が変更される場合には、100%保証制度の見直しや支援先の選別、金融機関にも今以上に負担を強いる内容等、中小企業側には厳しい方向に変更されることが予想されます。
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会社概要

銀行での融資経験や税理士事務所での法人担当経験を生かし、中小企業の経理部長となって銀行融資取引や、提携税理士と共に経理業務のサポートを行っています。

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個人プロフィール

1971年7月1日東京都江戸川区生まれ。地方銀行や税理士事務所で働いてきましたが、今まで以上に中小企業の経理財務をサポートしていきたく起業しました。

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